虫歯治療
虫歯ができる理由
◎ミュータンス菌などの細菌がだす酸によって虫歯ができます
お口の中には約300種類の細菌が棲みついています。歯を良く磨く人で1000億個程度、あまり歯を磨かない人ではおよそ1兆個もの細菌がひそんでいると言われています。
虫歯は、お口の中にひそむミュータンス菌やそのほかの細菌がだす酸が歯の表面のエナメル質を溶かしてしまう病気です。この現象を「脱灰(だっかい)」と呼びます。脱灰が虫歯のはじまりです。
◎唾液と虫歯の深い関係
お口の中には常に唾液が分泌されています。唾液にはリン酸やカルシウムなどの成分がふくまれており、酸によって溶けた歯を修復する作用をもっています。これを「再石灰化(さいせっかいか)」と呼びます。
きちんと歯磨きをして歯を清潔にしていると、再石灰化作用が進みやすくなります。しかし、あまり歯磨きをせず歯垢や汚れがついたままの状態を放置していると脱灰が再石灰化を上回り、虫歯になってしまうのです。
◎虫歯菌は糖質をえさにします
ミュータンス菌などの虫歯の原因菌は食べ物にふくまれる糖質をえさにして活動しています。ジュースやお菓子にふくまれる砂糖や、ごはん、麺類やパンなどの糖質が虫歯菌のエネルギー源です。これらを食べたり飲んだりしたあとに歯磨きをしないでいると虫歯菌の活動が活発化し、脱灰が進みやすくなります。
虫歯の進み方
虫歯は5つの進行段階に分類されます。
C0(歯のエナメル質がわずかに溶けだしている虫歯)
C0は歯の表面をおおうエナメル質が脱灰してわずかに溶けている虫歯です。初期段階の虫歯で痛みを感じることはありません。歯の表面はよく見ると白くにごって見えますが、肉眼では確認しにくいです。
C1(歯のエナメル質にできた虫歯)
C1は歯の表面をおおうエナメル質にできた虫歯です。初期段階の虫歯で痛みは感じないことが多いですが、冷たいものがふれるとしみることがあります。歯の表面には茶色のシミのようなものが見えたり、小さな黒ずみが見えることもあります。
C2(歯の象牙質にできた虫歯)
C2はエナメル質の下の象牙質に進んだ虫歯です。冷たいものや甘いものがふれるとしみや痛みを感じるようになります。歯には黒い点が見えたり、黒い穴が確認できます。
C3(歯の神経にまで達した虫歯)
C3は歯の中心にある神経(歯髄:しずい)にまで達してしまった虫歯です。神経が炎症を起こして歯ぐきが腫れたり、温かいものがふれるとしみたり痛むようになります。じっとしていてもズキズキと強い痛みを感じることもあります。歯には黒い穴が確認できます。
C4(歯の上部がボロボロに溶けてなくなり、根元だけが残った状態)
C4は歯の上部がボロボロに溶けてなくなり、歯の根元だけが残った状態の虫歯です。神経は死滅しており、歯そのものの痛みを感じることはありません。歯の痛みは感じませんが、放置していると歯の根の先が重度の炎症を起こして歯ぐきやあごの骨が強く痛むことがあります。
虫歯を放置すると・・・
◎痛みが消えた虫歯を放置するのは危険です
神経が死滅した虫歯は歯の痛みを感じません。また、虫歯には強く痛むときと痛みがスッとひくときをくりかえす、という性質があります。
「痛くないから」という理由で治療を受けず虫歯を放置するのは危険です。虫歯は放置すると歯だけではなく歯ぐきやあごの骨の炎症をひきおこします。虫歯を放置することで歯の根の先に膿の袋(膿疱:のうほう)ができたり、あごの骨が炎症を起こして非常に強い痛みをひきおこすこともあります。
◎脳梗塞や心筋梗塞の引き金になることも
虫歯は放置すると脳梗塞や心筋梗塞をおこす引き金になることもあります。
虫歯があごの骨の中の血管に入り込み、血液に乗って全身をかけめぐります。血液内に侵入した虫歯は血管の壁に傷をつけてしまい、血栓ができます。そして、血栓によって血液の流れがとどこおり、脳梗塞や心筋梗塞をおこすことがあります。
虫歯を放置して「頭痛や吐き気がする」などの症状があらわれはじめたときには注意が必要です。血管に障害がでている可能性があります。
虫歯治療を受けるのを途中でやめてしまった場合
◎1ヶ月以内であれば再治療できる場合があります
虫歯治療を受けたあと、治療を受けるのを途中でやめてしまう患者様が時折いらっしゃいます。「痛みがなくなったから」「仮歯が入ったから大丈夫」という理由で、治療を受けるのをやめてしまうのは危険です。
虫歯治療は途中でやめてしまうと歯を削った場所に細菌が入り込んだり、虫歯菌が仮歯の下に新たな虫歯を作ることがあります。また、仮歯はあくまでも仮の詰め物・かぶせ物です。本歯ほどの強度はないため、早ければ1~2か月程度で壊れてしまいます。
治療を中断した期間が1ヶ月以内であれば、継続して治療できる場合もあります。1か月以上経つと再感染のおそれがあるため、治療のやり直しになるケースが多いです。もし、何らかの理由で虫歯治療を中断してしまったときはなるべくお早めにご相談ください。
虫歯の治療法
進行度合いによってそれぞれの症状に適した治療を行います。
C0(エナメル質の虫歯:歯が白くにごる)
C0は初期段階の虫歯です。歯は白くにごりますが肉眼では確認しにくいです。痛みも感じません。
≪治療方法≫
歯を削る処置は行いません。お口のケアやフッ素塗布で様子を見ていきます。
初期虫歯のため、唾液による再石灰化を期待できます。ふだんの生活で歯磨きをしっかり続けるようにしてください。症状によっては歯の表面にフッ素塗布を行います。
C1(エナメル質の虫歯:茶色や白っぽいシミ、小さな黒ずみができる)
C1は初期段階の虫歯です。歯の表面には茶色や白っぽいシミ、小さな黒ずみができます。ほとんどのケースで痛みは感じません。
≪治療方法≫
症状が軽い場合は歯を削らず、お口のケア(歯磨き)やフッ素塗布で様子を見ます。
ケースによっては麻酔を使わずに少しだけ歯を削ります(エナメル質には神経が通っていないため痛みは感じません)。削った場所にはレジンというプラスチック樹脂の白い詰め物をします。
C2(象牙質の虫歯:黒い点や黒い穴ができる)
C2はエナメル質の下の象牙質に進んだ虫歯です。歯の表面には黒い点や黒い穴が確認できます。冷たいものや甘いものがふれるとしみや痛みを感じることがあります。
≪治療方法≫
麻酔を使って歯を削ります。
削った場所にはレジンや銀歯(保険適用)、セラミックやゴールド(自費診療)などの詰め物をします。
C3(歯の神経にまで達した虫歯:黒い穴ができる)
C3は歯の神経に達してしまった虫歯です。歯には黒い穴ができます。大きな穴が開くことが多いですが、小さな黒い穴でも内部で広がっていることもあるため注意が必要です。温かいものがふれるとしみたり痛むようになるほか、じっとしていてもズキズキと強く痛むこともあります。
≪治療方法≫
麻酔を使って歯を削り、歯の神経を抜く治療(抜髄:ばつずい)を行います。抜髄をしたあとは歯の根っこを綺麗にする根管治療(こんかんちりょう)を進めて行きます。
根管治療ではリーマーやファイルを使って歯の根のお掃除を行い、根管内部の細菌を除去していきます。根管内部が綺麗になったことを確認したのち、殺菌効果のある薬剤を根管に詰め、フタをします。
フタをしたあとは銀歯(保険適用)やセラミック(自費診療)、ゴールド(自費診療)のかぶせ物をかぶせて治療が完了となります。ケースによってはかぶせ物をする前に歯の中に土台となるコアを入れ、補強を行います。
C4(歯の神経が死滅した虫歯:歯がボロボロに溶けてなくなり根元だけが残った状態)
C4は歯の神経が死滅した虫歯です。歯の痛みは感じませんが、細菌感染によって歯ぐきやあごが強く痛むことがあります。歯の上部はボロボロに溶けてなくなり、根元だけが残った状態です。
≪治療方法≫
ほとんどのケースで抜歯となります。抜歯後は部分入れ歯やブリッジ、インプラントなどの義歯を使い、失った歯をおぎなう補綴治療(ほてつちりょう)を行います。
歯の根元部分が残せるようであれば根管治療を行ったのち、差し歯をします。差し歯の種類にはレジン(保険適用)やセラミック(自費診療)などがあります。
親知らずの抜歯について
当院で抜歯できる親知らずの種類
当院では親知らずの抜歯を行っています。
[当院で抜歯できる親知らず]
・まっすぐに生えており、歯の上部(歯冠)が歯ぐきから上にでている親知らず
上記は当院で抜歯可能です。
[当院では抜歯できない親知らず]
・斜めに生えている親知らず
・歯ぐきの中に埋まっている親知らず
・まっすぐ生えているが歯根が長く血管や神経に食い込んでいる親知らず
上記は口腔外科での抜歯となります。
【親知らずのお悩みがあるときにはご相談ください】
親知らずが痛む、親知らずに虫歯ができた、など、親知らずのお悩みがあるときはお早めにご相談ください。当院で抜歯できる場合は患者様のご同意のもと、抜歯を行います。(難症例の場合は口腔外科での抜歯となります)
親知らずとは
◎奥歯のいちばん奥に生えてくる永久歯です
親知らずとは、奥歯のいちばん奥に生えてくる永久歯です。
正式名称は第3大臼歯(きゅうし)と呼びます。
◎親知らずが生えてくる年齢
個人差はありますが、親知らずは18~20歳前後に生えてくるケースが多いです。人によっては親知らずが20代後半で生えてくる場合もあります。
◎親知らずが生えてこない人が増えています
最近では、親知らずが生えてこない人が増えています。
理由としては「やわらかい物ばかり食べてあごが退化した」「あごが退化して小さくなり親知らずが生えてくるスペースがなくなったため」と言われていますが、はっきりとした原因はまだわかっていません。
親知らずの虫歯
◎親知らずは虫歯になりやすい
お口の一番奥に生えてくる親知らずは歯ブラシで磨きにくく、虫歯になりやすいです。
親知らずは虫歯を治療してもまた同じ場所が虫歯になるケースが多く、親知らずの虫歯を治すか治さないかは判断がむずかしいところです。虫歯をくりかえすようであれば抜歯を検討することをおすすめします。
親知らずがまっすぐに生えていてしっかり磨くことができ、虫歯を予防できているのであれば無理に抜く必要はありません。
◎親知らずの磨き方
親知らずはお口のいちばん奥にあるため、通常の歯ブラシでは磨きにくいです。
親知らずを磨くときはヘッドが小さめの歯ブラシを使うか、もしくは、「ワンタフトブラシ」を使うことをおすすめします。ワンタフトブラシとは毛先がペン先のような1本の束になっている歯ブラシです。親知らずがどうしても磨きにくいときはワンタフトブラシのご使用をおすすめします。